隣人のヒステリーをどうにかしたい
発端
僕は毎朝8時40分ごろ(ギリギリ仕事に間に合う時間)に起きるのだが、最近は必ず朝の7時頃に一旦目が覚めてしまうようになった。隣人が活動を開始するためである。
引越してから今まで、ずっと隣の部屋は空き部屋だったので今までは静かに過ごせていたのだが、年が明けてから入居者が入ったようだった。
そして、現在僕が暮らしているアパートは壁が薄く、隣の部屋の生活音がほぼ全て聞こえてくるのだ。(実はこの物件、楽器可という条件だったのだが、防音設備がしっかりしているわけではなく、みんなが我慢しているということなのだろう)
自分はあまり騒音とかは気にしない方だと思っていたのだが、隣人の生活音が筒抜けというのは思った以上にストレスがあった。隣人が水を使ってるのも音でわかるし、隣人の会話の内容すら聞き取れてしまう。相手にも同様に自分の生活音が聞こえてしまうだろうから、下手に部屋で声を出したりできない。
隣人の会話内容から察するに、おそらくシングルマザーと子供が2人(幼稚園~小学校低学年ぐらいの男の子、女の子)と推定している。そして、しょっちゅう母親がヒステリーを起こし、子供にブチギレている。
「なんでここにゴミを捨てないの!」
「なんで当たり前のことができないの!?」
「ご飯抜きだよ!?」
「全然見本と違うじゃないの!漢字書き直して!」
などといった具合だ。
そこまで怒ることはないのではないかと思うが、ひとりで2人の子供を育てるというのは相当なエネルギーを使うのかもしれない。幸いにもビンタをしたりといった、DVめいた音は今のところは聞こえてきていない。
しかし、迷惑なことは迷惑である。壁が薄い住宅が根本の原因ではあるが、僕にも生活があり、今までのような平穏な日々を送りたい。どうにかして隣人のヒステリーを止めなければならない。
解決手段
壁ドン
最初は壁ドンすることを思いついた。最近よく使われている女性をドキッとさせる方ではない。そっちの方法は僕のようなしょうもない青年崩れが怒り狂った隣人に仕掛けたところで、火に油を注ぎに行くようなものである。僕も漢字の間違いを指摘されて怒られるのは避けたい。ここでいう壁ドンは、ネットで使われ始めたときに使われていた、壁を殴って威嚇する方法である。
隣人とは壁を隔てているので、直接顔をあわせることもない。向こうのやりとりが聞こえていることが伝えられ、迷惑を被っているというこっちの怒りまで伝えられる良い方法だ。
しかし、今後部屋を出たときに隣人と顔を合わせることもあるだろう。かなり気まずくなるのは間違いない。
それに、隣の部屋には子供がいる。母親も恐れ、隣人にも怯えるという生活はかわいそうだと思う。
アダルトビデオを流す
怒っているときに、アダルトビデオを流してみてはどうだろうと考えた。隣の部屋から嬌声が聞こえてきたら怒っている場合ではなくなるのではないか。
しかし、隣人が特に子供を叱りつけるのは朝の7時~9時頃である。そんな朝っぱらから何してんだと思われないだろうか。
しかも、毎回同じ動画を流していると、「あ、これ動画だ。隣人はモテない独り身のおっさんだ」と思われるのではないだろうか。
違う動画に変えたら変えたで、「また別の女を連れ込んでる。とんだスケコマシ野郎だ」と思われるに違いない。
やはりこの方法も良くなさそうだ。どうしても隣人と気まずくなってしまう。しかし方向性は良かった。
そして、僕は最適解を思いついたのだった。
マツケンサンバを流す
軽快なイントロに否が応にも隣人のテンションは高まっていく
さっきまでは怯えていた子どもたちにも次第に笑みがこぼれる
サビが始まった頃には隣人の怒りもすっかり収まっていた
子どもたちは無邪気に踊っている
かつてMr.Childrenが歌っていた “世界中を幸せにするようなメロディー”
こんな身近なところにあったのだ
サンバ ビバ サンバ
マ・ツ・ケ・ン サンバ
サビが終わり、隣人の部屋と僕の部屋で大きな声が響いた。
オーレ!!