プリンプリンのババロア

怠け男日記 改め プリンプリンのババロア です。よろしくお願いします。

アプリなしでは思い出の場所にたどり着けなかった話

先日、アイマスのライブを観に出かけたときのこと。

少し早めに出かけたので時間が余っており、手持ち無沙汰だったので難波で散歩をすることにした。

僕は大学受験に失敗して、1年間ほど予備校に通っていた時期がある。予備校は難波駅から徒歩10分くらいのところにあった。繁華街とは真逆の方向にあり、川沿いにオフィスビルが並ぶ静かなところに立地していたため、通勤で毎日難波を通りはしてもこちらに来ることはなかった。

 

よし、ひさしぶりに予備校に行ってみよう

 

僕はJRなんば駅の方向に歩き出した。 

地下の涼しい通路を通り抜け、階段を登る。予備校に通っていたのはもう10年以上前のことになる。春頃はやる気に満ちていたっけ。当時の気持ちを思い出しながら日差しの強い外に出た。

そうそう、夏は今と同じようにめちゃくちゃ暑かったんだよな。いつも予備校にたどり着く頃には汗びっしょりになっていた。予備校までの微妙な距離が恨めしかった。

横断歩道を通りなんばHatchを横目に川を渡る。なつかしい。よく芸人さんが漫才の練習をしていたっけ。あの芸人さんはテレビに出るようになったかな。

川を渡り切ると信号がある。うん、ここを左だ。それから――

 

そこからの道がどうにも思い出せなかった。さっきの信号を左に曲がるまでは間違いない、はず。直前の判断も怪しくなってきた。

景色を見ればきっと思い出すだろうと思っていた。実際、過去に何度も見た記憶のある景色だった。だけど、予備校までの道のりはどうしても出てこなかった。

アプリに頼るのは嫌だった。ここまできたら最後まで自分の記憶で予備校にたどり着きたいと意地になっていた。Googleマップを使ったら負けな気がする。

その後、汗だくになりながら15分ほど歩き回ったけど見つけることはできず、友人との待ち合わせの時間に遅れそうだったので切り上げざるを得なかった。無念だった。

 

1年間も通った場所にアプリなしではたどり着けないというのは寂しいものだった。たとえ1年間という長い期間通った場所でも、10年も経つと忘れてしまうものなのだ。それはもう悲しいくらいに。

技術の発達によって行ったことのない目的地にも簡単にたどり着けるようになったけれど、わざわざ調べないとたどり着けないのは思いのほか寂しいものだ。記憶が完全に抜け落ちてしまう前に、用事はなくてもたまには思い出の場所を訪れるのは良いのかもしれない。