プリンプリンのババロア

怠け男日記 改め プリンプリンのババロア です。よろしくお願いします。

僕は僕の中の引越しと向き合い始めた

住居を他のところに移す、というのはかなりエネルギーの必要な行為だと考えている。引越しの苦労といえば荷造りや荷物の運び出しなどといった肉体的な負担がまず脳裏に浮かぶが、実は精神的な負担はもっと大きい。会社や様々な人に報告をする必要があるし、なにより住み慣れた街を離れるというのは自分が考えている以上にストレスのかかる行為なのだ。

通い慣れた美容室はそこにはない。「前回から伸びた分ぐらい切ってください」という注文は新しい美容師には通用しない。それどころか、僕が人見知りするタイプということを知らずにめたくそに話しかけてくるのだ。

美容師「お休みの日はどんなことをされてらっしゃるんですかぁー?」
僕「あ…あう……げ、ゲームです」
師「へえー!僕もドラクエとかやってましたよー。どんなゲームをされるんですかぁー?」
僕「え、えと……アイマ…ペ、ペルソナとかですかね……」
師「うーん、聞いたことないなあー」
僕「……」

もう嫌。途中から師匠みたいな感じになってるし。アイマスだなんて初対面の人に言うのは恥ずかしいし、ペルソナもコアなゲーマーぐらいしか知らない。「ペルソナっていうのはね、内なるもう一人の自分なんですよ…」なんて、一から教えるのは大変な気苦労がある。ましてや師に対して。

通い慣れたスーパーもない。いつものあの場所に卵は売っていないのだ。「卵、卵…卵はどこだ…?マヨネーズは……?た、たすけてくれェーー!」と店内をさまよい歩くことになるのは想像に難くない。

通い慣れたセブンイレブンもない。新居の近くにあるのはスリーエフというややマイナーなコンビニだ。僕はスリーエフの作法を知らない。今ググったところ、スリーエフのサイトのキャッチコピーのようなものが書かれていた。

「星より明るくスリーエフ!」

僕みたいな根暗クソオタク野郎にはハードルが高い。まさか星より明るいとは…。絶対体育会系のノリで接客してくる。入店した途端、怒号のような「いらっしゃぁせぇぇーー!!」が店内に響き渡るのだ。売られている商品も体育会系だ。粉ポカリとかスタミナガッツリ弁当的なものが店の商品の6割を占める。カロリーなんて知ったことではない。むしろ高カロリーであることに心血を注いでいる。サラダには葉っぱの量を更に上回る肉がセットになっている。おでんも卵やがんものようなものはない。牛すじオンリーのはずだ。

住居が変わるというのはそういうことだ。美容室もスーパーも、コンビニさえもが僕に対して牙を向いてくる。引越しの準備に重い腰が上がらないのはこのためなのだ。

まずは、僕は引越しに対する「覚悟」を決めなければならない。それをしなくては引っ越しの準備には移れない。かくして、僕は今日一日をベッドの上で瞑想をして過ごすことになったのだった(もちろん横になって )。